教授挨拶
Message from Professor

日本医科大学整形外科学教室は1931年に開設され、初代 齊藤和夫先生、第二代 高木憲次先生、第三代 伊藤忠厚先生、第四代 白井康正先生、第五代 伊藤博元先生、先代 高井信朗先生と引き継がれ、2020年4月に私が日本医科大学整形外科第7代教授に就任しました。

整形外科は骨、軟骨などの骨格系と筋肉、腱・靭帯、神経および血管を含む軟部組織から構成される運動器組織の疾患や外傷を取り扱う診療科です。身体運動は個人が社会(外界)に出ることのできる重要な手段を提供することから、整形外科の扱う運動器は人間の尊厳を身体の側から支えているといえます。これまで引き継がれてきた診療、教育、研究の伝統を継続し、基礎医学から臨床医学まで幅広い分野で人材を育て、さらに発展させてまいります。

整形外科は、外科系診療科ですが薬物療法やリハビリテーションなどの内科的治療から外科的治療まで幅広く行うことが特徴です。優れた医師を育成するための研修システムを整備し、臨床と研究のバランスが取れた真の意味でのプロフェッショナルを育てていきたいと考えています。社会がプロとしての医師に求めているものは知識と経験、技術そして、倫理観であり、医師はそのすべてにおいて信頼を得る必要があると考えます。整形外科医の理想像とは、正確な診断と卓越した手術技能はもちろん必要ですが、技術だけに偏重するのではなく、科学的な思考と探求心、そして患者さんを慈しむ心を併せ持った医師であります。具体的には自由闊達な雰囲気の中でのびのびと仕事ができるような環境を作り、臨床面においてはあらゆる分野での低侵襲手術の推進をはかり、教室の伝統であるスポーツ医学をさらに発展させ、転移性骨腫瘍治療に関してはキャンサーボードを通して最期まで歩いて自宅で過ごし、人間としての尊厳を保つ治療を行います。研究面ではこれまで培ってきたトランスレーショナルリサーチを継続・発展させていくこと、そして、教室の伝統を重んじ、新しい風を吹き込むことによって、教室が次のステージに上れるように努力します。さらに地域医療機関との密接な連携を行い、同門の先生や地域の先生と、よりよい医療の実現に向けて一致団結していきたいと思います。

主任教授 眞島 任史