産休から復職
当医局は医師として、そして子供をもつ母として歩んでいける医局であることを身をもって証明できる医局です。
私は入局して4ヵ月で一人目を昨年3年目で2人目を出産しました。
入局直前に妊娠が発覚したわけですが、当時整形外科がこんなに女性に優しい科だとは思ってもいませんでした。整形外科といえば男性が多く、女性のライフイベントへの理解が得られにくいのではと思いながらも覚悟して入局しました。しかし他科よりも、そしてどんな一般企業よりも理解がありここに入局してよかったと思う点がたくさんありました。
例えば、1人目は認可保育園に入所できなかったこともあり産休育休合わせて1年半取得でき、子供の成長をしっかりと見ることができました。医師でない職業の人と同じ位、子供と向き合いたいと思っていた私にとって後悔ない時を過ごすことができました。
復帰の際も、先輩パパの上級医にアドバイスを頂き、ストレスなく疲労困憊にならずに育児と仕事の両立を続けていけるように決めることができました。
また女性が少ないからこそ、上の先生が今までやってきた産休育休復帰の仕方をしなければならないというのがなく、その人それぞれにあったやり方で実現でき、それにより、みんなで女性が働きやすい職場を作り上げていくことができると感じています。
そして女性の先輩医師だけでなく男性医師も普段から奥様のことをサポートしたり、奥様への日々の感謝の念を忘れずにいる理解のある方が多く、人それぞれの事情をくみとりサポートして頂いています。
託児所もそれぞれの病院にあり生徒も普通の保育園よりは少ないので先生の目が行き届いて安心です。
また送り迎えも病院に隣接しているので子供と離れる時間も少なく子供の負担も少ないと思います。
もし整形外科に入局したいけど、妊娠、出産や育児もしたいのにと思っている方がこのページにたどり着いて頂けたならお話だけでも良いので是非聞きに来てください。
男女共同参画の取組
Gender equality efforts
日本医科大学整形外科学教室では
男女共同参画社会づくりに向けて取組んでいます。
整形外科を志す女性医師へ
整形外科は、頭蓋内や内臓以外のあらゆる全身の関節疾患、救急外傷、慢性疾患、スポーツ外傷、関節リウマチ、リハビリテーション、骨粗鬆症、骨軟部腫瘍などの外科的治療と保存治療が含まれることから、整形外科への入局を考えたことがある医師は多いと思います。その中で、特に女性医師は、興味はあるが女性はいなさそう、腕力に自信がない、スポーツの経験がない、医局が汗臭そう、などの理由で悩んでいるようです。さらに、“整形外科は結婚・出産に適さない”と考えている女性医師もおられるようです。
しかし、日本医科大学整形外科学教室には、子育てと仕事を両立する大学スタッフ、出産直前の専門医、育休復帰直後の専修医、専門医を目指す専修医など、多くの女性医師が働いております。そこで当科の女性医師の現状や働き方を紹介させていただきます。整形外科を志す女性医師は、ぜひ参考にして入局してください。
整形外科を目指す医師は体育会系の男性ばかり?
整形外科は救急外傷やスポーツ外傷も扱うため、学生時代のケガの経験から整形外科に興味を持つ先生も多いです。また、整形外科医は電動ノコギリやハンマー、スクリューなどの大工工具を使用した手術も多く、さらに外傷や下肢の手術では脚持ちといった力仕事が重要な役割を占めることもあり、結果として体育会系の男性が多いことは確かです。
しかし近年では整形外科も細分化され、サブスペシャリティーが重視されております。当科では、膝関節、股関節、肩関節、上肢、骨軟部腫瘍、脊椎、関節リウマチ、スポーツ、リハビリテーション、骨粗鬆症の専門分野に分けて、臨床と研究を行っております。そこで、各グループを研修しながらそれぞれにあった働き方を見つけることが可能であり、またその選択肢は無数にあります。もちろん外傷や下肢をサブスペシャリティーとして活躍する女性整形外科医も多数おられますが、少し腕力に自信がない先生は、上肢や関節鏡、顕微鏡手術を専門とする選択肢もあります。また男性医師も全員がゴリゴリのスポーツマンなわけではなく、草食系男子もおりますので安心してください。
整形外科医は緊急手術ばかり?
整形外科には救急外傷がつきものですから、緊急手術を夜間に行うこともあれば、多発外傷で長時間手術ということもあります。そこで、体力勝負、夜も帰れない、万年寝不足と考えられる側面もあります。
しかし、実際は緊急手術だけではありません。これは全ての外科系医師に当てはまることですが、治療の基本は保存治療です。つまり、はじめに患部の安静、ギプスやシーネ固定、装具療法、薬物療法、リハビリテーションなどを行います。それでも改善しない時に初めて手術療法の適応を検討します。さらに、術後の早期リハビリテーションも整形外科医として重要な仕事の一つです。病院の特色やサブスペシャリティーによって、これらの比重が異なりますので、各先生が、仕事の目標や個人の体力、家庭の事情などを考慮して、自分にあったタイプの整形外科医師を目指すことができます。
基礎研究や博士号の取得法
大学院に入学し、解剖学教室や薬理学教室などの基礎研究室に入って、毎日試験管を振って、英語論文を書いて、医学博士号を取得し、海外留学経験をして、という王道な大学院生活も可能です。また、研究は興味あるが細胞や動物を用いた基礎研究までは、という先生にはコンピュータシミュレーションを用いた生体力学研究や、臨床データに基づいたトランスレーショナルリサーチで学位を取得することができます。さらに日本医科大学は社会人大学院という制度があり、通常の病院勤務をしながら大学院生という立場で研究を行う方法もあります。
次の項目にもありますが、女性医師にとっては出産、子育てという期間があります。全ての時間を子育てにあてたいという先生もいれば、少しでも研究や臨床をしたいという先生もおられます。ご家族のサポート体制によっても異なりますが、出産時期に大学院に入学し、子育てと研究を両立しながら学位を取得するなどの選択肢もあります。
結婚、出産、育児、そして復職
仕事をする女性にとっての最大の課題であり、当科では以前から女性の意見を取り入れた体制を整えております。
結婚にあたっては、ご主人の勤務先、転勤などを考慮して、関連病院の中から仕事を続けやすい病院を一緒に検討します。また、産休や育休は積極的にとっていただきます。さらに職場復帰したとしても、当分の間、勤務時間や勤務日数、当直などの制限があると思います。家事や子育てで大変な中、少しでも可能な範囲で仕事がしたいという気持ちを優先し、週1-2回の非常勤勤務から、平日日勤のみの常勤、当直免除など、勤務体制を配慮させていただきます。
当医局の女性医師からのメッセージです。
女性医師もぜひ整形外科に入局し、一緒に頑張りましょう。
佐々木 晶子
(平成26年卒)
日本医科大学では女性医師が様々なライフステージでそのキャリアを継続するのに必要な育児支援やキャリア教育支援などを行っております。こちらもご参照ください。
学校法人日本医科大学 しあわせキャリア支援センター
https://www.nms.ac.jp/sh/shien/
日本整形外科学会 男女共同参画委員会 働き方改革委員会
http://joa-danjo.jp/approach/approach.html